maboroshispeechのブログ

スピーチ形式のエッセイ

縄張り争い

「縄張り争い」は、「諸悪の根源」とさえ言えます。

 太平洋戦争では、300万人の日本人の命が失われましたが、日本陸軍と海軍による、「勢力争い」、つまり「縄張り争い」が戦争を始めた大きな理由の1つです。

 陸軍と海軍は、勢力を伸ばすために、軍備を増強すべく、少しでも多くの予算をとろうと競争していました。そして予算をとったからには、実際に強くならなければいけません。

 アメリカと戦争を始めるかどうかの会議で、陸軍は「うちは勝てる。海軍はどうか?」と言います。海軍も負けじと、「うちだって勝てる」と頑張ります。

 そうか、陸軍と海軍は勝てる、と言う、それでは、戦争をすべきだ、という結論になってしまいます。

 会議に参加した天皇陛下、総理大臣はじめ、ほとんどの者が「勝つのは難しい」と内心でわかっていても、口に出すことができません。

 昨日テレビで、もと銀行マンが言っていました。かつて、バブルが破裂した1990年代、銀行の合併が相次ぎました。

 A銀行とB銀行が合併してC銀行になると、お互いに縄張りを守ろうとし、かりに、A銀行がすごい不良融資をしていても、B銀行はそれについては何も言わない。相手の縄張りを尊重し、もし大事件が起きても、A銀行出身者に「責任」をとらせるのです。

 僕がいた会社でも、たくさんの「本部」があり、会社の経営決定機関である、「常務会」では、各本部を代表する常務は、他の本部が変なことをしようと、ケチをつけない、という不文律がありました。

 批判したり、拒否できるのは、社長、副社長だけ、ということになります。

 中央官庁でも、縄張り争いがものすごいようで、これが行政改革の大きな妨げになっています。大雨のとき、国土交通省が管轄するダムは放水し、経済産業省のダムは放水しない、というようなことが起き、菅総理官房長官のとき、ダムの行政を一本化したそうです。

 日本は特に縄張り争いがひどいようですが、もちろん外国にもあり、改革を妨害しています。