アフター・ケア
高価な製品を買って、アフター・ケアがないと困ります。
1980年頃だったと思いますが、台湾の国営製鉄所がアメリカから、高価な圧延機を購入しました。何10億円もする巨大な機械です。厚さ2ミリくらいの鉄の板を、ロールで圧延して、さらに薄く延ばし、自動車のボディに使う鉄板をつくります。
何ヶ月もかけた据えつけが終わり、アメリカの技術チームは、試運転を終え、契約どおり、マニュアルを置いて、帰国しました。
いよいよ台湾側による運転です。しかし、最初はいろいろ問題が起き、うまくいきません。機械は、コンピューターにより制御されて動くのですが、うまく動きません。いろいろ調べた結果、コンピューターのプログラムに問題がありそうだとわかりました。
そこで、アメリカにプログラムを修正してもらうように頼みました。
ところが運悪く、そのプログラムを作った技術者が、病気で急逝していたのです。他の人では容易にプログラムを直せないことがわかりました。
台湾の製鉄所としては、一刻も早くその機械を動かし、製品を予定通り市場に送り出す必要があり、大変困りました。プログラムが改修されるまで、相当の時間がかかったようです。
もしこれが日本製の機械であれば、日本メーカーの技術者は、試運転のあと、マニュアルを置いて帰国する、などということはせず、本格運転がうまく行くまで、つきっきりで手伝うでしょう。そして、何年後でも、電話1本で駆けつけ、トラブルの解決を手伝うでしょう。これが日本式アフター・ケアです。
日本の機械が世界で活躍しているのは、性能が良い上に、アフター・ケアがしっかりしているからで、これはちょっと外国企業には真似ができません。国民性の問題です。