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「しごとの思い出」
国民性の違いでいえば、中国系の人は個人志向、日本人は集団志向です。
僕が、商社に勤め、鉄の貿易を担当していたとき、台湾向けの、大きな
商談が、持ち上がりました。
台湾の国営製鉄所が製造した、２０万トンの鉄を日本に運び、それを日本の製鉄
メーカー６社が薄い板に加工し、台湾に送り返す、というビッグ・プロジェクトです。
台湾から、２人の若い技術者が東京にきて、日本側６社と、製品の品質全般にわたり交渉しました。
それから１ヶ月ほどして、「宿題」を終え、品質問題を決着させるため、今度は日本側の技術陣が台湾に行きました。
会議初日の朝、日台双方の技術陣が大会議室に集まり、まず日本側代表が、東京で行われた技術交渉での「合意事項」を発表しました。すると、台湾側のある部長が手を上げ、「同意できない項目がある」と言うのです。
驚いた日本側が、「その項目は、そちらの代表が先日、東京で合意しました」と言うと、部長は「東京に行った者は、私の部下ではない」と、譲りません。日本で交渉した、台湾の若い技術者は２人は、下を向いています。他にも同様の問題が出て、結局、初日は東京で合意した項目を、いくつも再交渉する羽目になりました。
翌朝の会議の冒頭、日本側が「昨日は、これ等５つの項目で双方が合意しました」と発表。すると、昨日とは違う部長が、「合意できない項目がある。私は昨日の会議には、いなかった」。日本側「・・・」。
これが、国民性の違いです。外国とのビジネスでは、珍しくありません！
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