maboroshispeechのブログ

スピーチ形式のエッセイ

やってみなけりゃ

やってみなけりゃ、わからない。

 世の中、何ごとも、やってみなけりゃ、わかりません。

 やってみないで、わかるのは、神様だけです。

 メーカーであれば、新製品は「売ってみなけりゃ、わからない」です。

 

何十年も前ですが、アメリカのフォード自動車が、完璧な市場調査をし、絶対売れるという自信をもって、「エドセル」というクルマを売り出しました。結果は、ほとんど売れませんでした。あの周到な市場調査は、何だったのでしょうか。アンケートで、「消費者が欲しい」というクルマを調べて、つくったのですが、結果は、惨たんたるものでした。

 

 経営で大切なことは、ダメだとわかったら、すぐ止めることです。その判断が大切です。経営に失敗はつきものです。遅れると、怪我が大きくなります。

 

講演する人も、聴衆に受けるのかどうか、「やってみなけりゃ、わからない」です。

 何年も前になりますが、ある若い尼僧の講演会にいきました。その尼僧は、「今日は、AAについて、お話しします」、といって話し始めました。しかし、その直後、「あ、やめましょう」といって、「皆さんは、AAには興味がないようですから、今日はBBについてお話しします」といって、平然と話題を変えました。聴衆の反応ですぐに変えたのです。

 それは、見事なものでした。さすが、プロの講演者だと思いました。そして、話は面白かったです。

 

 一方、たとえば就職した場合、自分に合わなければ、パッと切り替えることも大切ですが、ひとつのことを、とことん続ける、ということも大切です。その兼ね合いは、簡単に答えがでません。答えはないかもしれません。やってみなけりゃ、わからないのです。

 

 僕が勤めていた商社で、実際あった話です。舞台は、アメリカ西海岸のシアトル支店です。食品部の担当者が、支店長に、ある魚の缶詰工場をつくりたいと、伺い書を出しました。支店長が、「その魚は、毎年必ず漁れるのか」と聞くと、「必ず漁れます」という返事。納得できない支店長が、東京の本社部長に聞くと、「必ず漁れるかどうか、わからない」という。これで納得した支店長は、伺いを承認したそうです。やってみなけりゃ、わからないのです。