maboroshispeechのブログ

スピーチ形式のエッセイ

集まってはいけない場所

無人カンタベリー大聖堂

7月9日の夕方、テレビ朝日のニュースで、「無人カンタベリー大聖堂」の日曜日を映していました。英国国教会の総本山の現状です。

 

1,000人は入れると思われる大聖堂は、「無人」です。礼拝はありません。

 

広々した芝生の庭の一角で、司祭が、たった一人で、お茶でも飲む雰囲気で椅子に座り、「ライブ配信」で説教をしています。となりの白い小さなテーブルには、紅茶がおいてあり、飼い猫がそのカップに手を突っ込んで、しばらくすると、紅茶を全部飲んでしまいました。

 

大変な世の中になりました。しかし、これが現実です。

 

無人の式場

「式」が社会から消えました。人が集まる「式」は「自粛」です。

 

コロナ禍により、「式」によって成り立っている、団体やビジネスは、「破綻」の危機に直面しています。

 

教会は、直撃を受けています。教会とは、建物をいうのではなく、「コングリゲーション」つまり「会衆・集団」です。その、「信徒の集まり」ができない社会になりました。

 

「結婚式」と「葬儀」ができなくなりました。結婚式は「ライブ配信」(オンライン)です。葬儀は、「家族葬」で終わりです。

 

これまで、教会の礼拝堂は、重要な「式場」として使われてきました。結婚式、婚約式、洗礼式、前夜式、葬儀、記念式、等々です。また、講演会や集会にも使われてきました。

 

今や、教会の会堂は、「集まる場所」から「集まってはいけない場所」になりました。

 

「集まらない文化」が人々の心に根づき始めました。社会から感染者がいなくなっても、未知の敵に備え、この文化は続く可能性があります。