夢のような夏休み
アメリカで、高校3年生の、夢のような夏休みが始まります。
ニューヨークから着いた僕を、ボストンのグレイハウンド・バス・ターミナルで、ホスト・ファーザー(ダディー)と、ホスト・ブラザーのキャル(Calvin)が出迎えてくれて、ダックスベリー(Duxbury)の別荘に着いたところです。
ボストンの南、クルマで40分ほど走った小さな町、ダックスベリー。海がすぐそばです。ここで、ホスト・ファミリーと、ひと夏を過ごすのです。
ホスト・マザー(マム)と、弟のビル(Bill)、妹のエリー(Elly)、エミー(Emmy)が庭に出てきて、歓迎してくれました。
家は、杉の皮で屋根や外壁を葺いた、2階建てのコテージです。家の前は広々とした水面で、4km先の海まで続いています。引き潮のときは、水底が現れます。マーシュフィールド(Marshfield)というのだそうです。
初日の夕飯で、マムが「エイジはライスが食べたいでしょう」と、お皿の肉と野菜にご飯を添えてくれましたが、パラパラの細長い米でした。
夕食のあと、家の前でひと泳ぎし、そのあと、暖炉のある居間で、家族団ら
んです。皆に暖かく迎えられ、幸せでした。
キャルは長男で、僕と同年、ビルは1歳下。僕たち3人は、9月の新学期から
ボストン北方の、グロトン・スクール(Groton School)で寄宿生活をします。
水泳、ヨット、海岸でのバーベキュー、歴史上有名なプリマスまでのサイクリング、ロブスター獲り、メイン州への旅行など、夢のような日々でした。
丁度、ダディーが庭に小さなバンガローを建てたので、僕たち3人はそこに寝泊まりしました。キャンプのようでした。
始まったばかりの、宿題もない、夢のような夏休みが、いつまでも終わらないようにと願いました。