maboroshispeechのブログ

スピーチ形式のエッセイ

努力は報われる

努力は必ず報われます。

2021年4月4日、水泳の池江璃花子選手は、東京オリンピック出場権を勝ち取りました。女子100メートル・バタフライで優勝したためです。

 

池江選手は、2年前に、急性白血病で倒れながら、奇跡的な速さで復活しました。当日は、日本中がこのニュースで持ちきりでした。

 

レース後に本人が「苦しくてもしんどくても努力は報われるんだなと思いました」と涙ながらに語りました。ぼくも、テレビニュースでそのシーンを見、目頭を熱くしました。

 

ところが、東スポWebによれば、陸上の藤光謙司という人が、池江選手の言葉に対して次のようにツイートしました。

 

(藤光氏)「本当にすごい!!すごく勇気をもらいますね。本当におめでとうございます」と祝福。その上で5日には(藤光氏)「努力は必ず報われる。スポーツの世界でもよく聞く言葉だ。そんなニュースを目にすると僕自身も勇気をもらったりする。しかし、勝者=報われるという考え方だと大半の人の努力が報われていないことになる。正しい努力とは一体何なのか」とアスリートならではの思いをつづった。

 

それに対して、池江選手は藤光氏の投稿をリツイートし(池江選手)「確かに深く考えさせられる言葉ですね......自分の過去では、努力してた矢先に『病気』が待ち受けてて、積み重ねてきた”努力”が全て無駄になった気がしました。(中略)

 

その上で(池江選手)「どんな人も、努力はしていると思います。ただその努力という定義も難しいな、と思います。本気で目指してきたことをたとえ達成できなかったとしても、その努力は必ず誰かが見てて、誰かが勇気をもらえるのではないでしょうか」と前向きな言葉をつづった。

 

以上が東スポが報じた水泳の池江選手と陸上の藤光氏のツイートです。

 

これはぼくが非常に関心をもっているテーマです。

 

目標や夢の達成と、「幸せ」との関係、というテーマです。

 

客観的な事実として、天才とは、99パーセントの努力、1パーセントの才能、が正しいと思います。

 

だから、たくさん努力した人が、高い目標や夢を達成します。

 

しかし問題は、努力して、目標を達成することが、幸せにつながるかどうかです。

 

たとえば、世間で大成功したと認められた人も、その後、転落して、不幸になった例はたくさんあります。

 

人生で大切なのは、幸せかどうかで、目標や夢を達成したかどうかではないと思います。

 

一部の種目を除いて、アスリート人生は短いです。オリンピックで金メダルを取っても、その後の長い人生をいかに幸せに生きていくかが重要です。

 

目標というのは「モノ」です。モノでは幸せになれません。オリンピックが終われば、ただの人です。すぐ忘れられます。

 

結論を言うと、幸せとは「与える」ことです。

 

池江選手や藤光氏の言葉にもあるように、自分が活躍することにより、人に「勇気」を「与える」ことに意味があるのです。ぼくは、勇気というより、「元気」という方が良いと思います。

 

日本のアスリートが世界で活躍する、それで多くの人に元気を与えます。

 

与えることにより、アスリートは幸せなのです。そして、現役を退いたら、次には、どうやって、何を人に与えるか、これができないと、不幸になります。

 

幸せなアスリートとは、生涯、人に何かを与え続ける人です。