maboroshispeechのブログ

スピーチ形式のエッセイ

鎌倉の海水浴場

  「砂丘と松林を抜けると、目の前が急に開け、白砂が銀色に輝く。」

 

「足のうらが熱くてたまらず、飛び跳ねながら、波打ち際まで走った。」

  

これが往年の鎌倉、由比ヶ浜海水浴場でした。

 

1958年頃(昭和33年頃)、僕が中学生のとき、あの国道134号線が

由比ヶ浜のど真ん中に開通し、江ノ島方面から三浦半島に抜けられるようになりました。

 

しかしそのために、海水浴場は半分になり、砂は、土のようになりました、と思います。というのは、砂が土になったのは国道のせいだけなのか、わからないからです。

 

  ハワイでは毎年、ワイキキの砂浜に、オーストラリアから輸入した砂を入れて、補充しているそうです。海水浴客が多く、ビーチ・サンダルのうらに砂をつけて、「消費」しているせいかもしれません。

 

  鎌倉の砂浜にも、毎年新しい砂を足しているのか、わかりません。砂浜は、相変わらず、「土の砂」です。

 

  小学生の頃、夏になると由比ヶ浜には、よしず張りの小さな夜店が並び、金魚すくいや、射的、ボトル倒しをしました。即席の弓道場もありました。

 

  鎌倉の海のイベントで、最も有名なのが、夏の花火大会でしょう。フィナーレの「水中花火」は圧巻です。漁船が高速で「台船」を曳きながら、「材木座」をスタートし、「由比ヶ浜」を過ぎ、「坂の下」まで走るのですが、走る台船から打ち上がる無数の黄金の光が、水面に降り注ぐ美しさは、たとえようがありません。

 

  終点の、「坂の下」海岸の崖の上にある公園から眺めるのも、良いものです。ビールがあれば、なお良いです。