maboroshispeechのブログ

スピーチ形式のエッセイ

歴史の愉しみ方

 学生時代から、「歴史」には興味がありませんでした。年号を覚えるのも、苦手でした。

     しかし最近、磯田道史氏が書いた『歴史の愉しみ方』を読んで、「歴史」が

愉しいものに変わりました。

     例えば、磯田氏は、新幹線で東京と大阪を往復するとき、いつも関ヶ原

「古戦場」をしっかり見るそうです。高校時代からの習慣です。

     磯田氏発案の「関ヶ原見物作法」というのがあります。

     「関ヶ原見物は東京駅出発時からはじまる。・・・徳川家康の気持ちになって風景を見物しなければいけない。静岡に入り、安部川が見えたら、人質時代を思い出してみる。そのあと、自分の城を見るつもりで掛川城浜松城をさがす。」

     「名古屋を過ぎると一瞬みえる清洲城を見逃してはいけない。なにしろここは、家康の定宿である。・・・このあたりから座席を立って、すばやくデッキへ移動する。」「大垣が近づいたら、すぐさまデッキを移動し、右側の窓にぴたりとついて、家康の本陣がおかれた赤坂の丘をさがさねばならない。」

    磯田氏の実家は岡山の旧家で、子供の頃、家にあった古文書を読んだのが、歴史研究の道に入った第一歩だそうです。その後、大学に進みますが、歴史研究に都合のよい大学に入り直し、博士号をとり、今日までいくつかの大学で、研究と授業をしています。

    『歴史の愉しみ方』は、200頁足らずの本ですが、非常に内容が濃く、しかも面白く書いてあるので、「歴史」が好きになりました。

                                  了

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