maboroshispeechのブログ

スピーチ形式のエッセイ

アルペンはいつ?

 今、世界と日本の差がもっとも大きいスポーツの1つに、アルペン・スキーがあると思います。

 1956年に、猪谷千春(いがや  ちはる)が冬季五輪で銀メダルをとったのが、夢のようです。

     日本は、ノルディック・スキーの「複合」では、世界のトップ・クラスなのに、アルペンは、どうしてこうも差があるのでしょう。決勝に進めないのです。

     理由は僕には分かりませんが、一般論として、良いコーチのもと、科学的な理論にもとづく練習をすれば、強くなります。バドミントンは、数年前に韓国人のコーチがついてから、世界のトップになりました。

     僕は、大学時代にスキー・クラブに入り、志賀高原で合宿しました。そして「回転競技」を練習しました。斜面に竹竿を2本1組でセットし、たくさんの「旗門」の間を滑り降り、タイムの速さを競うのです。

     この「回転競技」がアルペン・スキーで、他に、「大回転」、「スーパー大回転」と「滑降」があります。この中で、日本人に有利なのが「回転」です。体の小さな日本人には、小回りの「回転」が有利と言われてきました。しかし、今や、日本人選手の体格・体力は欧米人にひけをとらないレベルになってきました。

     アルペン種目は、0.01秒の単位で競われます。それに対し、日本選手は、スタートしてからすぐに、トップ選手の通過タイムより2秒、3秒と遅れます。ゴールしたときには、10秒近くも遅れています。このレベルの差は、どうしたものでしょう。

     日本選手は、長野、群馬、東北、北海道などで、2歳や3歳の頃から滑り始め、上手になるのです。ヨーロッパの選手と、同じ条件だと思いますが、どうしてこうも世界は遠いのでしょうか。

     いつか第2の猪谷が生まれるのを待っています。 

                               了

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