maboroshispeechのブログ

スピーチ形式のエッセイ

寮生活はじまる

1961年9月、ボストン近郊のグロトン・スクールで、僕の留学生活が

始まりました。全寮制の男子校です。

    このハイスクールは、中高一貫の6年制、1学年20~30名ほどです。したがい、全校でも150人くらいの小さな学校です。

     僕が住むことになった、大きなレンガ造りの建物は、Hundred House

ハンドレッド・ハウス)といい、100名ほどの生徒と、数名の独身の男の先生と、校長夫妻が住みます。

     1階は、2人1室の勉強部屋と大食堂。2階には生徒が寝る大部屋と、寮監の独身の先生が住む部屋がいくつかあります。

     僕が寝た大部屋には、下級生のベッドが、5台ずつ2列に並び、両端に僕たち4人の6年生(高校3年生)のベッドです。

     朝は7時に起床ですが、下級生を起こすのは、僕たち最上級生の役目でした。

なかなか起きない生徒は、たたき起こすほかありません。

     目覚まし時計は使用禁止です。ベルも鳴りません。起床当番は1週間単位で、4週に1回は、僕の番が回ってきます。自分自身がいつ寝坊するか、心配でしたが、1年間、不思議と1度も失敗しませんでした。

     大食堂には、細長いテーブルが並び、生徒が10人ずつ向かい合って座り、

両端に座った先生が、大きなお皿に食べ物を取り分けて、回します。次々と回ってくるお皿を、となりの人にリレーするのに忙しく、慣れるまで、おちおち食べていられませんでした。

     就寝は夜10時。生徒がホールに並び、1人ずつ校長に “Good Night”と握手します。最上級生だけは、握手したあとも勉強する特権がありました。

     木曜日の夜は、最上級生だけ、校長室でケーキを食べながら、当時人気の

アンタッチャブル」というテレビ番組を見ました。

 

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同級生。



                                  了

I-1-(30)

 

                    

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Good night, sir.