山中伸弥
「ノーベル生理・医学賞」を受賞した山中伸弥教授といえば、テレビにもよく出演するので、名前や顔は広く知られていると思います。
山中さんは、大きな夢に向かって走っているように見えます。
京都大学iPS細胞研究所の所長として、いわゆる「万能細胞」の研究をしています。
山中さんを見ていると、医者として「出世」するという「私欲」よりも、多くの患者さんの役にたちたい、世のためになりたいという「公」の目的の方が強いように感じます。
テレビや写真で見る限り、とても良い表情をしています。欲まみれ、カネまみれの顔はしていません。
山中さんのこれまでの人生は、多難です。
学生時代にスポーツで何度も骨折をしたのがきっかけで、神戸大学医学部を卒業後、整形外科医の道に入りました。しかし、不器用で、周囲から「ジャマナカ」と呼ばれ、外科医は自分に向いていないとあきらめ、研究者への道に転向します。
大阪市立大学に入り直し、薬理学教室で研究を始めます。ハードワークのすえ、1993年に博士号をとります。
そして、アメリカに留学、マウスを使って、iPS細胞、いわゆる「万能細胞」の研究に没頭します。しかし途中で、事情により、日本に帰ってきます。
ところが、日本の研究環境は、アメリカに較べると貧しく、たとえば、何十匹もいるマウスの世話を、アメリカと違い、山中さんが1人でしなければなりませんでした。
それやこれやで、山中さんは「うつ」になり、整形外科医の道に戻ることを決め、就職先も決まりかけたところへ、アメリカで「人間のiPS細胞」による実験に成功したとのニュースが入ります。これにより、山中さんの研究が飛躍的に進み、ノーベル賞の受賞となりました。
山中さんは、研究費を稼ぐために、マラソン大会に出たり、財団を設立して寄付を集めるのに大変ですが、iPS細胞が実用化すれば、難病の画期的な治療法となります。
大きな「公」の夢に向かって、山中さんは走っています。