maboroshispeechのブログ

スピーチ形式のエッセイ

すべてが近くなる

エッセイを書き始めて、人も記憶も、すべてが「近く」なりました。

 

エッセイ第1集は、20冊製本し、恩師、お世話になった方、従兄弟、友人、知人にお送りしました。受け取る方は、突然のことで、驚かれると思ったので、中に手紙を入れました。

 

高校時代にアメリカに留学した仲間のK君は、大坂で、2年前に亡くなっていたのですが、奥様にエッセイ集をお送りすると、ご主人の仏前に供えてから読んで下さり、とても喜んでくれました。K君は生前、「エッセイ集を楽しみにしているよ」と言ってくれましたので、遅くなったお詫びがてら、お会いしたこともない奥様に、エッセイを集を送ります、と電話しました。

 

電話口で奥様に、「実はK君が生前、僕のエッセイを・・・」と言いかけ、あとは涙で、言葉になりませんでした。奥様も分かってくれて、二人で電話口でしばらく泣いてしまいました。

 

それから、奥様から丁寧な手紙を頂き、K君が亡くなる前年に、K君夫妻と、二人の息子さん家族で、僕が住む近くの「忍野八海」に、大坂から旅行に来られていたことがわかりました。次男さんの強い要望だったそうで、何か運命を感じました。

 

奥様とは、まだお目にかかっていませんが、二通ほどの手紙のやりとりで、もう昔からの知り合いみたいな感じになりました。ご主人が亡くなった寂しさから、何もする気がせず、家にこもっているとのことでしたが、僕のエッセイで少し癒やされたと言ってくれました。K君と奥様は、ものすごく仲が良かったそうです。

 

僕がエッセイを書き、お送りしたことで、大坂にいる、まだお目にかかったこともない奥様と、K君を偲んで文通や電話がありました。少しでも元気を取り戻して頂きたいと願っています。落語が上手だったK君は、あちらで落語をやりながら、相変わらずと思いますが、いずれ再会のとき、僕のエッセイを読んでもらいたいと思っています。