maboroshispeechのブログ

スピーチ形式のエッセイ

万年筆

手紙を書くには、やはり万年筆が良いです。

 

  小学生のときは画ペンを使い、中学・高校はパイロット万年筆、大学はパーカー、社会人になってからは、シェーファーです。

 

  シェーファーは2本持っており、そのうち1本は中字用で健在です。一方、細字用は、20年くらい使っていなかったら、インクを吸い込まなくなってしまいました。

 

直るものなら、修理しようと思い、今年(2020年)の1月に、ネットで調べ、丁寧に修理してくれそうな業者を見つけました。信用し、電話もしないで、万年筆を送りました。しかし、3月になっても音沙汰が無かったので、少し心配になっていたところ、「修理できました、送ります」とのメールがあり、大喜びしました。

 

届いた万年筆には次のような手紙が添えてありました。

 

「大変遅くなりまして、申し訳ございませんでした。

使われておりましたブルーブラック・インクが、耐水性の高い没食子酸系でしたので、固化して年数が経ってしまうと(特にシェーファーの場合は)、インク溝が奥で塞がってしまい、薬品でも復活させることが出来ません。従いまして、分解には成功したものの手を尽くせず、使用不能な状態でありました。しかしながらこの度運良く、当時の部品を得る機会があり、患部を慎重に交換しまして、無事に修理に成功しました。

現在のブルーブラックは、没食子酸(例外的にペリカンとプラチナには使われているとの事)は使われておりませんので、誤って完全に乾燥されてしまった場合でも水洗いのみで復活可能と思われます。末永くご愛用下さいませ。」

 

  部品がなく、修理に時間がかかったということが良くわかりました。途中で連絡をくれたら、もっと良かったのですが。

 

  このように、良心的で、腕の良い職人さんに巡り会うと、うれしいです。