maboroshispeechのブログ

スピーチ形式のエッセイ

トイレ

      大学時代、人文地理が専門のN先生は、ゼミナールでトイレの研究をしていました。

 

   先生と学生たちは、当時(1963年)の、機関車が引っ張る列車に乗り込み、窓側に座った人が、窓を開けると、前方から飛んでくるトイレの排泄物の飛沫を、どれだけかぶるか、という実地調査をしました。

 

   実験のため、列車のトイレに赤インクを流したところ、窓側の学生の白いYシャツに、赤い飛沫がたくさんついたそうです。

 

   僕の子供の頃、トイレといえば、もちろん和式でした。

 

   汲み取った糞尿は、畑の大切な肥料でしたが、寄生虫の問題など、健康上良くないということで、徐々に化学肥料に変わりました。

 

   和式のトイレは、今では地方に一部残っている程度ですが、つい数年前までは、鎌倉の生涯学習センター(旧公民館)にもありました。それにしても、昔から、脚の不自由な人などはずいぶん和式トイレで苦労したと思います。

 

   十数年前に、中国観光に行った女性たちは、地方の観光地で「ニイハオ・トイレ」に困ったそうです。日本でいう「側溝」があり、板がたくさん渡してあって、左右の足を、左右の板に乗せて、用を足すわけで、何の仕切りもなく、隣の人に「ニイハオ」(こんにちは)と挨拶するので、その名がつきました。

 

   最近、中国の習近平主席が「トイレをきれいにせよ」と大号令をかけたので、中国全土でトイレ革命がおきたと聞いています。

 

   ホノルルに、中国人が経営する、フラ・ダンス用品の店があります。その経営者は、1千万円もする日本製の高級車に乗っていますが、店のトイレはひどいです。全体が、灰色に汚れており、フタが半分こわれています。廊下と仕切るドアもありません。中国人は、概して、トイレと台所がお粗末です。

 

   日本では、コンビニエンス・ストアによりトイレ革命がおきました。