したたかな人生
哀しいかな、「出世」は、組織で働く者の宿命です。
2011年の東日本大震災で、福島第1原子力発電所が爆発しました。
原因は、政治家と東京電力の「立身出世主義」です。
大勢の人が放射線を被ばくし、心身に傷を負い、町は無人になりました。
東京電力では、数年前に、社内で、福島原発の危険性について、報告がありました。
大きな津波がくることが予想され、原発が倒壊する、との報告です。
しかし、この報告は、科学的根拠が不十分、ということで、社内で拒否されました。
この報告は科学者の見解を基礎にしていたのですが、東電の経営者は、これを無視しました。
また、爆発のあとの対応も、東電本社の「立身出世主義」により、現場の声が軽視あるいは無視され、後手後手になりました。
はたして、日本社会で、この「致命的」な経験が生かされているかとみれば、大いに疑問で、相変わらず、立身出世主義が横行しています。
簡単におカネを盗まれている「郵貯銀行」など、ひどいものです。
今、「半沢直樹」というTVドラマが大人気で、今夜、2020年9月27日、最終回です。主人公の半沢直樹は、銀行マンで、頭取はじめ、社内や政界の立身出世主義の人々と、預金者の利益第一、という銀行の「正義」をかけて闘います。
長く繁栄している会社、生きのびている組織、立派な国、について古今東西を見渡すと、「私利私欲」よりも、「公益」を大切にする「変わり者」の多いところです。
しかし、「カネ」は人生で2番目に大切なもの、生活の基盤です。「公益」を大切に、しかも経済的に破綻しない、「したたかな」生き方が答えでしょう。