奥様の誕生日
奥様の誕生日
ロシアのプーチン大統領が、地方を視察した際、赤字垂れ流しの国営企業の
経営者たちに激高し、鉛筆を投げつけた、と聞きました。
それより大分以前、ロシアがソ連だった時代、実際にあった話です。
日本の製鉄会社からソ連に輸出した製品に不良が出て、顧客サービスの
Kさんが、モスクワに飛びました。
ソ連側が要求する弁償額と、日本側が主張する金額が、余りにかけ離れていた
ため、交渉は難航し、最終日である3日目も、延々と交渉が続きました。
日が傾いてきた頃、ソ連側の交渉相手が急にソワソワし始め、ついには、
日本側の言い値でOKし、交渉を打ち切った、というのです。相手企業は損を
しました。
「運良く」、その日がたまたま、相手の奥様の誕生日で、それが幸いしたと、
あとで分かったそうです。
きっと、相手の方は、奥様と食事に出かける約束でもしていたのでしょう。
奥様の誕生日を無事に祝った交渉相手は、翌日、きっと上司に「日本側と
猛交渉の末、多額の弁償金をとりました」とでも報告したのでしょう。
一方、帰国したKさんから、弁償金額を聞いた上司は、余りの少なさに
驚いたそうです。笑い話みたいですね。
海外では、赤字垂れ流しの国営企業であろうと、抜け目のない民間企業で
あろうと、奥様の誕生日は「仕事より大事」のようです。
最近、「働き方改革」を叫ぶ日本ですが、奥様の誕生日が「仕事より大事」という日は、いつ来るのでしょうか。
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