maboroshispeechのブログ

スピーチ形式のエッセイ

お山の学校

おやまの学校・夢の跡

  僕が入学した小学校は、鎌倉の山の上にある、通称「お山の学校」です。

   学校は、スペイン系カトリックの「清泉女学院小学校・鎌倉分校」でした。

男子10名ほど、女子20名足らずでした。僕たちは1期生で、上級生も下級生も

いませんでした。

   場所は、鎌倉、小町の山の上、東勝寺跡でした。東勝寺は、鎌倉時代の最期、

戦いに敗れた北条一族が自害したところです。

   その東勝寺跡に、戦後、カトリック神父の修道院ができました。鎌倉に

カトリック教会をつくった宣教師たちです。

   その神父さまたちが、大工をして、修道院のとなりに、ログハウスのような

教室を造り、そこで僕たちが勉強したのです。

   昼休みにはときどき、外人の神父さまがチューインガムをくれました。修道院

からは、いつもおいしそうな、紅茶の甘い香りがしてきました。

   先生は3人の女性で、当時としてはめずらしく、1年生で英語を習いました。

   行事には、横須賀本校から、校長である外人のマドレ(シスター)が、二世の男性が運転する、黒いジープに乗り、勢いよく乗りつけてきました。

   僕たちは翌年、浄明寺ちかくの新校舎に映ったので、「お山の学校」の生活は、

1年間だけでした。

   修道院と校舎は、その後しばらくそこにありましたが、今は取り壊され、

空き地となっています。

 

  ピカピカの1年生の、夢の跡です。

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   現在の東勝寺

 

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