maboroshispeechのブログ

スピーチ形式のエッセイ

借金王のキーワード

「小さな楽しみ」

40億円という、気の遠くなるような借金地獄の中で、ときには駅のホームにすべりこんでくる電車に向かって、「体」がいってしまうことがありました。

 

そんな極限状態の中で、湯澤はあることをします。

奥さんと2人で、「5年間がんばる」という目標をたて、「1827日」の日めくりカレンダーをつくり、1日が終わると、そのカレンダーを1枚めくることにしました。5年やってだめだったら、会社を清算することにしました。

 

小さくても、日々の「楽しみ」があったので、頑張ることができたのです。

 

ラソン選手が、「あと10メートル」、「あと100メートル」と自分に言い聞かせながら、苦しくても最後まで走りきるのと似ています

 

あのスーパー・ボランティアの尾畠さんの魚屋修行も、「独立」という楽しい夢があったから耐えることができたのだと思います。

 

「すべては人」

3度目の地獄のとき、湯澤は、事業は「人」であるということに気がつきます。この場合、「人」とは、従業員のことです。

 

利益を出して借金を早く返済するため、従業員を減らし、機械のようにこき使った結果、食中毒や火災がおきました。「人」の大切さを忘れていたからです。

 

「いつかは」

57歳の今、コロナ禍で来店客が減り、湯澤は新たな問題にぶつかっています。そして3千万円の借金をしました。

 

しかし、湯澤は言います。「コロナ禍もいつかは過ぎ去ります。皆で結束し、目の前のことに集中します。そして『いつかは』ラクになります。」

 

湯澤は今日も、「いつかは」を楽しみに、コロナと闘っていることでしょう。