maboroshispeechのブログ

スピーチ形式のエッセイ

「穏便」は「もみ消し」

辞書に、「穏便」とは、「出来事をおだやかに、表立たないように、内々で処理すること」、とあります。

     英語では何というのか、辞書を見ると、例として、「穏便な計らい」は amicable arrangement, peaceful settlementです。もめ事や対立が起きたときに、友好的に、平和に、ことを収める、です。

     さらに辞書を見ると、「穏便に計らう」の例として、hush up the affair とあります。hush up とはどういう意味か、見ると、「もみ消す」とある。すなわち、hush up the affair とは、出来事をもみ消す、という意味です。

     学校でいじめ事件が起きたときに、学校側が事件を「穏便に処理」しようということは、「もみ消す」という意味にもなります。

     このように、「穏便」には、良い意味と悪い意味があります。

     社会のあらゆる組織は、騒動を好まず、不祥事はもみ消そうとします。

     上から「穏便に処理せよ」「表沙汰にならないようにせよ」と命じられた人は多いでしょう。

     組織内の不正を見て、穏便に済まさず、騒動にすると、その人は苦労するわけですが、もみ消しを繰り返しながら、穏便に一生を終える人と較べて、どちらが真に幸せなのでしょうか。

     この問題は、昔から多くの小説や映画のテーマになっています。

                                   了

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