「穏便」は「もみ消し」
辞書に、「穏便」とは、「出来事をおだやかに、表立たないように、内々で処理すること」、とあります。
英語では何というのか、辞書を見ると、例として、「穏便な計らい」は amicable arrangement, peaceful settlementです。もめ事や対立が起きたときに、友好的に、平和に、ことを収める、です。
さらに辞書を見ると、「穏便に計らう」の例として、hush up the affair とあります。hush up とはどういう意味か、見ると、「もみ消す」とある。すなわち、hush up the affair とは、出来事をもみ消す、という意味です。
学校でいじめ事件が起きたときに、学校側が事件を「穏便に処理」しようということは、「もみ消す」という意味にもなります。
このように、「穏便」には、良い意味と悪い意味があります。
社会のあらゆる組織は、騒動を好まず、不祥事はもみ消そうとします。
上から「穏便に処理せよ」「表沙汰にならないようにせよ」と命じられた人は多いでしょう。
組織内の不正を見て、穏便に済まさず、騒動にすると、その人は苦労するわけですが、もみ消しを繰り返しながら、穏便に一生を終える人と較べて、どちらが真に幸せなのでしょうか。
この問題は、昔から多くの小説や映画のテーマになっています。
了
II-1-(6)