ケネディとリンカーン
1962年7月某日、僕はホワイト・ハウスの庭にいました。
第35代米国大統領、ジョン・F・ケネディのスピーチを聞くためです。
ワシントンのホワイト・ハウスに集まったのは、全世界から来た高校生の交換留学生です。1年間の米国生活を終え、帰国前に集合したのです。
数百名の大歓声に迎えられた大統領のスピーチは、印象的なものでした。
「君たちは、1年間アメリカで生活してきました。その間に、アメリカの良いところも、悪いところも見てきたと思います。これから、それぞれの国に帰ったら、見たことすべてをお国の皆さんに伝えてください」。
ケネディのスピーチ・ライターは定評がありましたが、それが彼の口から出ると、さらに素晴らしく聞こえました。
本当に、僕たち若者にとり、ケネディは憧れの存在でした。
しかし、残念なことに、彼は翌年、テキサス州のダラスで暗殺されます。そして事件は、単なる殺人事件として闇に葬られたようです。
ところが、いろいろな事実から、ケネディは国家レベルの、周到な計画により暗殺された、という見方が出ています。
パレード・コースが、地元当局により、直前に変更されました。犯人として逮捕された者が、すぐに射殺されました。ケネディの頭部に当たった銃弾の状況を示す、解剖資料が行方不明になりました、などなど、たくさんあります。
ケネディの反対勢力がそれほど彼を憎んだ理由は何か?
奴隷解放を叫んだ、第16代リンカーン大統領も暗殺されました。ケネディは、黒人の差別撤廃を叫ぶ、公民権運動を支持していました。何かが見えます。
了
II-1-(7)