maboroshispeechのブログ

スピーチ形式のエッセイ

人物・照の富士

「照の富士」のカム・バック

照の富士が大関に返り咲きましたね。

 

一時は、世間の記憶から消えかけていた、元大関・照の富士が、

2020年7月場所、幕内に返り咲き、いきなり優勝しました。

5年ぶり、自身2回目の優勝です。

 

これは相撲界で初めての快挙で、奇跡的といえますね。

 

そしてついに、大関に返り咲きました。

 

2015年に、日の出の勢いで大関に昇進した照の富士は、

「イケイケ」状態で、横綱候補でした。

ところが、両膝を痛め、糖尿病も患い、四股も踏めない状態になったんです。

 

膝の手術などで、休場に続く休場、その結果、番付は力士番付の最下位の一歩手前、「序二段」まで落ちましたね。

 

大関は、大会社の副社長のような地位、フカフカのじゅうたん、応接セットつきの立派な個室にいる筈です。それが、新入社員と同じ、大部屋の片隅に戻ったわけです。

 

大関のプライドはズタズタに引き裂かれ、体もガタガタでした。

普通力士は、番付が幕内から、幕下に落ちれば、引退します。

 

照の富士も、親方に何度も引退を申し出ます。

しかし、師匠の伊勢ヶ浜親方は、慰留し続けます。

とにかく体を治せ、話はそれからだと、5回も6回も説得したそうです。

 

そして照の富士は、再起へ向け、三段目、幕下、十両へと返り咲き、

2年半ぶりに幕内に復帰した2020年7月場所で、いきなり優勝です。

 

成功した人には、「恩人」がいることが多いですが、

照の富士の場合は、断然、親方が一番の恩人です。

 

照の富士は、テレビのインタビューで、応援してくれた人々への

「感謝」、「恩返し」、を口にしていたので、大丈夫と思いますが、

この幸せが長く続くことを祈ります。