maboroshispeechのブログ

スピーチ形式のエッセイ

2つのハワイ

ハワイには、2つの顔があります。

 

  ひと言でいえば、「アロハ」と「現実」です。「心」と「お金」、「信頼」と

「裏切り」とも言えます。

 

  正しくは「アロ〜ハ」と言いますが、「こんにちは」「さようなら」です。しかし「アロ〜ハの心」といえば、いわゆる「良い心」です。誰からも好かれ、信用され、頼られ、尊敬されるのは、アロ〜ハの心を持つ、優しい人です。

 

一方、「アロ〜ハの心」とは反対の「現実」があります。

 

僕は、ハワイの銀行に口座を開きにいき、油断したすきに、係の女性銀行員に300ドル、盗まれました。

 

ハワイに永住している日本人のMさん(男性)は、晩年、詐欺にあい、大切な事業を、他人に奪われてしまいました。Mさんは、僕の定宿、「ワイキキ・バニアン」というコンドミニアムの中にオフィスを持ち、日本人所有の、空いている部屋を僕に貸してくれました。翌年は、見知らぬ白人たちがいました。

 

しかし、「アロ〜ハ」もあります。あるとき、僕とカミサンは、水曜日の午後、散歩の帰り道、「ホノルル動物園」に寄りました。水曜日は、ハワイアンの催しがあり、バンドやフラ、子供達のウクレレ演奏などもあります。ところが、財布を忘れ、小銭しか持っておらず、入場料に3ドル(330円)足りません。

 

係の人と交渉していると、警備員の若い男性が、ニコニコ近づいてきて、ポケットから3ドル出し、僕に「どうぞ」とくれたのです。礼を言い、名前や連絡先を尋ねましたが、笑いながら手を振り、行ってしまいました。3ドルあれば、市バスでオアフ島を1周できます。給料、多くないでしょうに、ほんとにありがとうございました。

 

これこそ「アロ〜ハ」の心で、一生忘れることができません。僕も、ああいう人になりたいです。