maboroshispeechのブログ

スピーチ形式のエッセイ

人をほめる

ある雑誌の人生相談に、人をほめることができない人の話がでていました。

 51歳の男性会社員の悩みは次のようなものです。

 「いま会社では『部下や後輩はホメて伸ばす』ことが主流です。が、(私は)不慣れなのと照れくささで、うまくホメルることができません。また、つい至らぬ点に目が行く私は、注意したり、叱責したりしがちです。どうすれば自分を変えられるでしょうか。うまくホメる方法はありますか?」

 回答者の答えは、「人をいじめると、あとで仕返しされることもあるから、すぐ認識を変えて、人をほめるようにしなさい」というものでした。

 相談するほうも、答えるほうも、考えが浅く、解決にはほど遠い、と感じます。

 まず相談する人の動機があいまいです。なぜ、部下をホメることが必要なのか。

 自分が出世するためか、部下のためを考えてのことか。

 会社では、部下を鍛えるのが当然です。悪い点はどんどん注意し、訓練する。一人前に仕事ができるようになるまで、鍛え、育てるのです。欠点は注意し、叱責します。そうして部下は一人前になります。またそうしなければ、会社は潰れます。

 この相談者がすべきことは、まず部下の長所や成果を認め、ほめることです。部下を「10」叱り、「0」ホメる、のが現状とすれば、まず、「10」叱り、「1」ホメる、という状態にもっていくのです。そして部下が立派に一人前になれば、「0」叱り「10」ホメるのです。

 僕の「幸せ哲学」は「ハードルを低くする」ということです。今、それを本に書いています。

 この相談者は、初めから「10」ホメるのは無理ですから、まず「1」ホメることから始めるのです。

 この相談者の動機はあいまいですが、部下をホメることにより、自分も幸せになります。

 大成功して幸せそうに見える人は、必ず想像もできないような、ものすごい「何か」をしています。それは「努力」です。それで幸せになっています。

何十年も努力を続けるには、最初は「ハードル」を低くするのです。初めから「ハードル」を高くすると、長続きしません。これを「三日坊主」といいます。

ハードルを低くし、「1」から始め、一生続けるのです。

成功すればするほど、努力をするのです。それが、苦しくもあり、また最高の幸せなのです。