maboroshispeechのブログ

スピーチ形式のエッセイ

メリー・モナーク

オリンピックには、夏季と冬季がありますが、それ以外に、「フラのオリンピック」もあります。

 それが、世界一のフラ・ダンサーを決める、「メリー・モナーク・フェスティバル」です。「メリー・モナーク」とは、宣教師に禁止されたフラを復活した「デイビッド・カラーカウア王」のことです。字のごとく、「陽気な王様」だったようです。

 ハワイ島最大の町ヒロに毎年4月、ハワイはじめ、世界中のフラ・チームが集まり、技を競います。観客も、地元はもとより、世界中からやってきます。特に日本人が多いです。会場には、応援団のものすごい「黄色い声援」が響きますので、耳栓をしたいくらいです。

 競技は、水曜日のエキジビションから始まり、木曜日はソロで「ミス・アロハ」を選び、金曜日は古典(カヒコ)・男女、土曜日はモダン(アウアナ)・男女です。

 会場は大きな、両側吹き抜けの体育館で、その年の「カラーカウア王と王妃」が貴賓席に座ります。

 開会のセレモニーでは、聖職者がハワイ式とキリスト教式両方の祈りを捧げます。

 競技には30チームほどが出場し、夕方6時に始まり、10時頃に終わります。最終日は表彰式があるので、12時近くになります。体育館の硬い椅子に4日連続、4〜5時間すわるので、相当の体力が要ります。

 少ないチームで5〜6人、多いチームで40人くらいが、大きなステージで踊りますが、一糸乱れぬ動きや変幻自在のフォーメイションは、観客を感動させます。

 僕は2000年に行ったとき、日本のオジサンたちと7人で肩を並べて

観ていましたが、優勝チームの演技を観て、全員が感涙を流しました。

 採点は、踊る曲の歴史的背景などを記した分厚い書類の審査に始まり、衣装、ハワイ語、曲の解釈と表現、ステップの正確さ、フォーメイションの揃い方、生バンドの演奏技術、等々、多岐にわたります。10人ほどの審査員がステージの真下で採点します。

 このフラ・オリンピックは、ハワイ人の大きな誇りとなっています。