maboroshispeechのブログ

スピーチ形式のエッセイ

ナオミ優勝

大坂ナオミ選手が全米オープン・テニスに優勝しました!

第1セットを1−6で失います。

 

第2セットが始まる前、ナオミはベンチで、タオルを頭から

かぶっていました。

 

何をしているのか。

技術的なことか。

それなら、タオルを頭からかぶる必要はありません。

 

タオルをかぶるといことは、精神を集中して、

明らかに何か、メンタルをしていたに違いありません。

 

僕の分析です。

ナオミは、1−6で失った第1セットを振り返ります。

何故、自分(世界ランク9位)よりランクが下のアザレンカ(27位)に

簡単に負けたのか。

技術的には、自分が上だ。

 

では何故か。

 

ナオミは自分が、「優勝」という「私欲」にとりつかれたことに気がつきます。

自分は、何のためにこの大会に出ているのか。

 

自分は、7つのキャップに、7人の亡き黒人の名前を書き、

その名前を世界に示すために、ここまで勝ち上がってきた。

 

自分は、自分個人の利益のために闘ってきたのではない。

「人種差別」に抵抗するために、「黒人」のために闘ってきたのではないか。

 

これに気づいたナオミは、第2セットにのぞみ、6−3で取ります。

第3セットも、6−3で取り、優勝です。

 

試合後、マイクをもったアナウンサーから、7枚のマスクをかけて

優勝した感想を聞かれたナオミは、質問を返すようで悪いけれど、

私がそのようにして勝ったことについて、あなたはどう思いますか、

と返した。

 

そして、世界の人が私を見て、どう思うか、

話し合うきっかけになれば良いと思います、

と言いました。

 

ナオミは、7人の名前を世界に示すことができて、

幸せだったと思います。

 

テレビでは、解説者が、ナオミは精神的に成長した、

と言っていましたが、その通りです。

その精神的成長の中身は何か。

これまでのナオミとどこが違っていたのか、

については、誰も言及しませんでした。

 

しかし、そこがポイントなのです。

 

今回ナオミには、人種差別に抗議するという

「公」の目的がありました。

それで強かったのです。

「公」の目的により、強い力がナオミの背中を押したのです。

 

テニスでは、メンタルがすごくものをいいます。

私も、経験がありますが、「勝利」の2文字がちらついた瞬間から、

プレーがおかしくなり、負けてしまったゲームがたくさんあります。

 

トップ・プレーヤーでも、メンタルは大切です。

 

どの世界でも、長くトップをつとめる人には、

何かの「公的」な目的や夢があるに違いないと思います。

 

多くの人は、トップになり、夢がかなうと、

次の夢をみつけることができずに、

「カネ」で幸せを買おうとし、

転落していきます。

 

アルコール、クスリと、転落コースは決まっています。

 

ナオミも、「公的」な夢を失うと、

トップに長くとどまることはできないでしょう。

 

22歳のナオミは、今回、以前と違う顔をしていました。

 

ナオミが常に「公的」な夢をもち、

長くトップでプレーすることを祈ります。