maboroshispeechのブログ

スピーチ形式のエッセイ

素晴らしい最期

ここに、私の友人の最期の瞬間を、皆さんとシェアできたらと思います。

友人の葬儀の際、神父さまから聞いた話を、あとで奥様から詳しく

聞いたものです。

 

鎌倉の中学校の同級生、H君のことです。

同君は15年前から、慢性白血病の治療をしながら、頑張ってきましたが、

昨年3月、ついに力尽きました。

 

ベッド・サイドには、奥様とウィーンから帰国中のお嬢さんがいました。

すると、昏睡状態のH君が急に手を上げ、昏睡状態のまま、

「イエス様、チェック・インしました」と叫んだので、

驚いた奥様たちが「そうなの、よかったわね」という感じで返し、

しばらくして、彼は静かに息を引き取ったそうです。

 

彼が亡くなる数年まえに、プロテスタントの父君が亡くなり、

教会での葬儀のあと、何を思ったか、彼は洗礼を受けたそうです。

奥様は、ずっとクリスチャンでした。

 

気丈な奥様で、「『チェック・イン』とは、良く言ったわね」、

と言われていましたが、僕もそう思います。

 

彼は、この5年ほど、ウィーンのお嬢さんが、プロの

ヴァイオリニストとして、毎年、みなとみらい(横浜)

小ホールでコンサートするのを、事務局として大いに応援し、

チラシやプログラムも、Photoshop を必死にマスターして、

プロ並みのものがつくれるようになりました。

 

よく頑張りました。

悔いはなかったはずです。

すばらしい最期だったと思います。