maboroshispeechのブログ

スピーチ形式のエッセイ

与える幸せ(2)

そして、A4判のエッセイ集の第1集と第2集を合わせて、「本」を出版することになりました。

 

5月の連休の間、安い費用で自費出版できる出版社を探しました。自費出版というものは安くない、その額は予想を超えていました。30万〜50万円はかかりそうです。しかも、在庫品は引き取れとか、こちらに不利な条件がいくつもついています。

 

しかし、最後に、P.O.D.(プリント・オン・ディマンド)方式で出版できることがわかりました。つまり、注文生産です。発売元のAmazonに注文は入ると、たとえ1冊でも、印刷会社が印刷・製本し、2日ほどのうちに注文者に届くというシステムです。

 

このP.O.D.方式により、5万円ほどで、出版できました。

 

出版社のサイトで、自分で入稿するので、いろいろ生まれて初めての経験をしました。原稿を縦書きに直すことから始まり、頁の区切り方、等々、結構大変でした。

 

しかし、2020年6月10日に、自分が注文した30冊が手元に届いたときは、感動しました。生まれて初めて、自分で書いたものが「本」になりました。自分は、たった1冊でも「作家」になりました。大きな喜びです。

 

早速、従兄弟や恩師、友人、知人たちに送り始めると、素晴らしいことが起きました。

 

家の近くに、大学の大先輩がいるので、1冊お持ちしました。すると、数日してから、電話があり、「本を読んだ。面白いので、いろいろ話がしたいから、家に来るように」、とのお誘いがありました。

 

先輩は、小さな会社をしていて、自宅の庭に事務所があり、そこの会議室で2時間ほど、深い話ができました。先輩は、注目した頁に付箋をつけ、女子社員に回して読ませたそうです。そして、付箋をつけた個所について、ご自分の経験とか、コメントを僕に話してくれました。

 

「本」がなければ、このような素晴らしいことは起きなかったと思います。

 

さらに、学生時代からあまり会話したことがないけれど、魅力を感じる同級生に「本」を送ってみたところ、長い手紙をくれて、彼も僕と話したかったことや、自分の生い立ちなどがくわしく書いてありました。彼と深い交流ができて、幸せです。