maboroshispeechのブログ

スピーチ形式のエッセイ

中国人(2)

この稿は、7月12日に掲載したつもりでしたが、抜けていたので、今日掲載します。

香港のビジネス・ランチ

僕は、日本の商社マンとして、香港のお客さんに会いにいきました。そのとき、お客さんの女性社長から、ビジネス・ランチに誘われました。ニーハオ、と挨拶し、着席するやいなや、「あなたの会社は、値段が高い」「他の日本の商社、M社、I社は、もっと安い」「だから、あなたの会社も、値下げしなさい」。これを2時間、オードブルからデザートまで、繰り返されました。何を食べたのか、味はどうだったのか、まったく覚えていません。

 これが、中国人のビジネスのやり方です。限られた2時間に、「お宅の値段は高い」と相手の脳に刷り込む、料理の味など、完全に後回しです。出された料理は、フル・コースの中華料理、高価な、世界一美味しい、本場の中華料理の「筈」でした。残念です。

 金持ちか貧乏人か

中国人は、金持ちと貧乏人に、はっきり分かれます。その差は、天と地です。日本の比ではありません。今、中国で、余裕があると言われる家庭は、年収3千万円くらいからでしょう。日本では、1千万円くらいからでしょう。そして、中国では、3千万円のクラスの下は、急に200万円くらいに下がります。中間がないのです。

 先日、中国の李克強首相が、国民の前で、はっきりと言いました。中国の人口は13億〜14億人ですが、そのうち「6億人が、月収1万5千円で、アパートを借りることもできない」。この貧しい人たちは、年収が、たった18万円というわけです。

 一方、日本に来る中国人の金持ちは、投資用に都心の何億円もするマンションを次々に買い、郊外の土地を買います。北海道の、「原野」も買います。そして、銀座で、高級ブランドのあらゆる物を買って帰ります。

 中国式ビジネス

同業者間の情報交換がすごいです。日本人には理解できません。競争しながら、ライバルと情報交換するのです。たとえば、東急ストアとイトーヨーカドー西友の店長が、朝から晩まで、電話をかけっぱなしで、「きゅうりの値段を1本100円から98円にした」。「ではうちは今から97円にする」。うちは「96円だ」と1日中やるのです。値下げは、内緒ですればいいじゃないですか。中国式は違います。値下げや、仕入れ値をライバルに教えます。信じがたいですが、事実です。そして、見事に皆で繁栄していきます。

 世界で商売がうまいのは、ユダヤ人、中国人、インド人といわれます。日本人は、絶対にかないません。あとは、中国人(3)をお楽しみに。