maboroshispeechのブログ

スピーチ形式のエッセイ

壮大な無駄遣い国家

最近はわかりませんが、僕の現役時代、日本では、「対面」ビジネスが主流でした。特に営業では、相手のところに毎日通い、顔を覚えてもらい、気に入ってもらい、それを何年も続けて、ようやく注文をもらえる、という世界でした。

 

僕は、商社で、鉄鋼製品の海外輸出を担当していましたが、仕入れ先の日本の鉄鋼メーカーから、見積もりをもらうためには、先方に出向く必要がありました。電話やファクスはダメでした。

 

鉄鋼メーカーの輸出部は都心の本社にあり、そこへ、見積もりをもらいに行くと、各商社が押しかけていて、時には2時間も待たされることがありました。しかも、2社、3社を廻り、見積もりをもらい、どこかでラーメンを食べ、ようやく会社に帰ります。

 

それから、販売価格を計算して、海外にテレックス(電信)で知らせるわけですから、毎晩10時、11時まで残業になります。残業しながら、鉄鋼メーカーが電話やファクスで見積もりをくれればよいのに、とよく思いました。多額の残業代は無駄な金ですし、誰しも早く家に帰りたいのです。

 

ちなみに、アメリカでは、国が広いし、電話やテレックスでビジネスをします。日本の商社マンがアメリカに赴任して7年間、一度も取引先に会うことがない、というケースは、むしろ普通です。

 

日本は本当に、その気になれば、天文学的なお金を節約できます。

 

高級官僚が「天下り」すると、1,000万円ほどの年収をもらい、さらに、「顔」を利用して、トンネル・ビジネスをし、いわゆる「眠り口銭」をもらうので、この無駄な金を合計すれば、年間、「兆」単位の金額になるでしょう。

 

コロナ・ショックを機に、日本が「テレワーク」の時代に入りましたから、大いに無駄がなくなることを願っています。