maboroshispeechのブログ

スピーチ形式のエッセイ

「9イニング」の人生〜その9

ここで、グロトン校での1年を振り返ってみます。

 

当時のアメリカは、まさにアメリカン・ドリームの全盛時代でした。

第2次世界大戦と朝鮮戦争を経て、軍需産業を中心に産業は発展し、経済がすごい勢いで拡大していました。

 

したがい、若者にとり就職の機会はいくらでもありました。グロトン校の同級生30余名のうち、半数はハーバード大学に進学しました。ハーバード以外でも、エール大学や、プリンストン大学など、有名大学に進学しています。

 

その後のキャリアを見ると、学者、医者、弁護士、実業家、などになっています。

 

同級生にS君というユダヤ人がいて、彼はハーバード大学を卒業し、ニューヨークでプロのジャズ・ピアニストになったのですが、売れず、転向して、ウォール街で「投資会社」に就職しました。そこで、大成功し、大金持ちとなり、グロトン校に、立派な「コンサート・ホール」を寄贈しました。プライベート・ジェットを乗り回すご身分です。

 

そのS君は、長年、グロトン校の「基金」の係で、卒業生から毎年、数億円の寄付金を集めていました。彼自身も、毎年、100万円か、それ以上の寄付をしていました。全校生200人規模の小さな学校が、毎年数億円を集めるのですから、卒業生がいかに成功しているか、「寄付の心」があるか、わかりますね。本校を1900年に卒業した、フランクリン・ルーズベルト大統領の遺族が、いまだに毎年寄付をしているかもしれません。そういう学校なのです。

 

ところで、僕の出身校、神奈川県立湘南高校が、2年後に、創立100周年を迎えるそうですが、同級生のU君が記念事業のために、1千万円の寄付をしました。僕は、頑張って1万円ですが、同級生にそういう立派な人がいることは、うれしいですね。

 

さて、話をもとに戻し、僕はほとんど何も勉強をせず、9月の新学期を迎えることになりました。