「書く」ことの素晴らしさ(2)
「書く」ことは、自分の経験や、思い、考えを明らかにすることです。まず自分から、自分をオープンにすることです。
そうすると、相手の中には、僕に対して何も行動をとらない人がいる一方で、「自分もオープンにしよう」と思う人が現れます。手紙、eメール、電話などで、それを僕に伝えてくれます。
それにより、僕と読者がお互いの経験や、思い、考えを「シェア」することになります。それが感動を生み、お互いの距離が近くなります。
エッセイを書いて相手に贈るのと、居酒屋で一緒に飲むのと、どう違うのだろうと考えます。
大きな違いが見えます。居酒屋で友だちと飲むときは、互いに相手のことを忖度しながら話します。相手が興味をもちそうな話題を探りながら、互いに楽しくなるような雰囲気をつくり、「今日は楽しかったね」といって別れます。
お酒が入り、酔ってくるし、周囲も騒がしいので、そんなところで、自分の貴重な経験や、深いところで考えていることなどを話す状況ではありません。
だから、普段、飲み会で一緒に話す仲間といえども、親しくはあっても、深いところでのつき合いではありません。
しかし、エッセイを読んだ人とは、何十年も疎遠であったとしても、深いところで交流ができたと感じます。
高校時代以来、会ったことのない友人は、僕のエッセイ集に対するお返しとして、彼の著作をまとめた本を送ってきてくれました。それを読むと、彼のこれまでの人生や、思い、考えなどがわかります。しかも、後日読み返すこともできます。居酒屋では、とても話せない、濃い内容です。
書くこと、読むこと、は素晴らしいです。