maboroshispeechのブログ

スピーチ形式のエッセイ

永遠のテーマ

職をかけ、「命のVISA」 4,000枚を書きました。

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杉原は、カウナス・中央駅で、「命のVISA」を書き続けました。

  
ユダヤ人の紳士が、ある日本人に会うため、東京に来ました。ようやく
杉原千畝(すぎはら ちうね)を探し出し、1枚の古びた紙片を取り出します。それは、かつて杉原が、リトアニアカウナスで発行した、「命のVISA」でした。
 
  第二次大戦の最中、杉原が領事代理を務めていた、リトアニアカウナスには、ナチスに追われ、ポーランドから逃げてきた、多数のユダヤ人がいました。
  ユダヤ人たちは、危険の迫るリトアニアから脱出し、シベリアを横断、日本を経て、アメリカやオーストラリアに逃げようとしています。
  そのためには、どうしても、日本を通過するVISAが必要です。
  領事館の外に群がるユダヤ人たちを見ながら、杉原は迷います。日本はドイツと同盟を結んでおり、ドイツがVISA発行に反対するのは目に見えています。すでに外務省からは、VISAは許可しないと、電報が届いています。
  組織に従わなければ、自分の将来を失うリスクがあります。この永遠のテーマは、多くの人の人生を左右してきました。杉原は、一晩考え、人命を救うことを決断します。
  VISAを発行するためには、厳しい条件がありましたが、杉原は知恵をしぼり、方策を講じ、本省の反対を押し切って、発給し続けました。
  杉原がサインしたVISAにより、6000人もの命が救われたといいます。しかし、戦後帰国した杉原に、外務省の席はありませんでした。
  外交官としての杉原の夢は成りませんでしたが、ユダヤ人は、杉原を「諸国民の正義の人」に列しました。
  2014年現在、世界49カ国、25,271人の「正義の人」の中で、日本人は杉原ただ1人です。
  毎年、イスラエルで多くのユダヤ人が、杉原の墓参りをします。リトアニアカウナスには、杉原記念館があります。
 世界に誇る、偉大な日本人です