「素振りするな」
「素振りするな」。
これが、僕が最初に覚えた、オーストラリア式ゴルフです。1974年、
メルボルン支店に赴任した僕は、着任早々、支店の人たちとゴルフをしました。
そこで、オーストラリア式ゴルフの「作法」を教えられ、大いに慌てました。
まず第1に、打つ前の「素振り」をしないこと。日本では、何度も素振りしてから打つのですが、プレーが遅くなり、ダメだというのです。他の人が打っている間に、素振りしておくように言われました。
第2に、キャディーは、いません。どんな名門コースでも、プロの試合以外は、セルフ・カートです。林に打ち込んだボールは、自分で探すほかありません。
第3に、フェアウェイには、グリーンまでの距離を示す「ヤード標識」がありません。150ヤードと100ヤードの標識がないと不便なのですが、そのうち慣れました。
僕たちは、誰でもプレーできる、パブリック・コースによく行きました。中でも、「サンドリンガム」(Sandringham)というコースが多かったです。
プレー代は、日本円にすれば、1000円くらいでしたか。靴は、駐車場で履きかえます。小さなコース事務所には、受付とトイレしかなく、ロッカー・ルームはありません。
アウトの9ホールが終わったら、キッチン・カーで買ったミート・パイをベンチで食べ、すぐにイン・コースのスタートです。だから、昼頃にはプレーが終わります。
支店のコンペのあと、ゴルフ場でバーベキューをしたこともあります。
了
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